内申点という魔物А住彌婀が将来の礎となるには―

2019.01.07 Monday 10:27
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    内申評価が中学3年間とその後に及ぼす影響についてこれまで綴ってきました。第7回のコラムでは、中学3年間が思春期の子供たちに与える時間的価値とそのあるべき姿について考えていきます。

     


    ■公立中学3年間は公立高校進学の準備期間なのか

     

    公立中学3年間とはどんな時間なのでしょうか。大人の入り口に立つ多感な時期に内申点を中心に中学生活が展開されることについてこれまでの回で述べてきました。公立中学が高校進学の準備期間として存在するだけならば、その在り方を見直さなければなりません。

     

    公立高校入試対策を専門とする学習塾では、小学6年生に向けた中学準備コースを設けています。中学の予習的な学習は、一気に難しくなる中学の学習内容へのアレルギーを減らします。学習塾にとって小学生の取り込みは経営戦略的な意味もあります。

     

    しかしながら、公立高校入試に不可欠な内申点はスタートダッシュが大切です。中学1年の内申点から公立高校入試の対象となりますから、とりわけトップ公立校を目指す生徒は、3年に渡り校内上位を走り続けなければなりません。漠然と不安を抱える保護者と子どもの心理は、こうした準備コースを掲げる学習塾に向かいます。公立中学の入学は、同時に公立高校進学に向けた内申点取り競争の始まりでもあるのです。

     

    中学入学時から定期テストで失敗をせずに走り続けなければならないことに教育的な意味があるのでしょうか。中学3年になってから能力が開花して成績を伸ばしたとしても、中学1・2年の内申点が足を引っ張ってしまうとすれば、制度自体に問題があると言えます。スタートダッシュができなかった生徒が這い上がってくるための門戸が閉じられてはいけません。

     

     

    ■思春期が将来の礎となる時間に

     

    多感な思春期にあたる子どもたちは、1〜2か月という短いスパンでやってくる定期テストに照準を合わせて時間を送るのではなく、長いスパンで自分に肥やしを与えることにその時間を充てるべきです。

     

    十代前半は、自分を見つめ、“生きること”・“社会”・“性”などを意識し、哲学し始める時期です。だからこそ、この時期に経験したことや人との出会いが“大人になる自分”に大きく影響します。学校がかざす物差しだけに頼ることは、可能性や個性の芽を知らず知らずのうちに摘み取ることになりかねません。

     

    もちろん、学力を積み上げることは大切ですが、内申点のような限定的な学力ではなく、普遍的な真の学力であるべきです。そうあるために学校生活や学外の活動は、高校入試だけを見据えたものではなく、思春期の瞬間にしか体験できないものであってほしいと願います。

     

    小学生と異なり、中学生は親の加護から少しずつ解き放たれていきます。自らの意思で考え行動できるようになる思春期は、“半分大人”として自分の眼を持ち始める時期です。学外の活動や趣味や遊びにおいて没頭するものがあることは将来の礎となるかもしれません。そのための時間が必要なのです。定期テスト対策の塾や強制される部活動に疲れ果てては、貴重な時間が過ぎゆくばかりです。(以前の回でも述べましたが、主体的に部活動に励んでいるなら別です。)

     

    もう思い切って、内申評価中心主義を止めてしまいましょう。

     

    では、内申評価を中心にした制度から脱却するには、どのような方策があるのでしょうか。

    次回コラムに続きます。

     

     

     

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