それ、悪文かも。話せても書けない「書き言葉」―悪文を書かないための講座―

2020.03.04 Wednesday 18:23
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    小学校での英語必修化とプログラミング授業の導入は、新時代への教育変革をイメージさせ、街の英会話教室とプログラミング教室を賑わせているようです。一方で国語教育については、大学共通入試に向けて改変された高校指導要領が一部メディアで一時話題に上りましたが、世間の国語に対する認識に変化は見られません。

     

    国語力はすべての教科の礎であり、思考する際のツールでもあります。正しく読み書きするために語彙力を蓄え、文法を学び、文章をまとまりとして捉える論理力を身につけなければなりません。しかしながら、情緒的に読み書きすれば何とかなる教科という認識が少なからず持たれています。なんとなく雰囲気で読み解いたらできた、これでは、解答の根拠が曖昧で、再現性がありません。国語は、どのように勉強すればよいのか、どのように教えればよいのか、英語や数学に比べて扱いづらい教科だと思われがちです。

     

    日本で生まれ育った人ならば、物心ついた時から使っている日本語ですから、わざわざ勉強する必要性を意識しないのでしょう。しかし、私たちが日常生活において使っている日本語は、多くの場合“口語”(話し言葉)であり、“文語”(読み書き言葉)と区別しなければなりません。ネイティブとして使っている口語を改めて勉強する必要はありませんが、文語は基礎を勉強しないと使いこなせません。

     

    街中を見渡すとおかしな日本語が意外と溢れています。

     

     

    『お客様へお願い 最近 車上荒しが頻発しております 必ずドアロック確認と貴重品は携帯してください』

     

    とある飲食店の駐車場に貼られていた看板です。恐らく食事中に車上荒らしの被害に遭遇したお客が何人かいたのでしょう。そこで、車で来店したお客に注意を喚起するために店主が掲示したものと想像されます。

     

    この看板の文章に違和感を感じた方は、しっかりした国語力をお持ちです。意味は分かりますが、文章構造的におかしな箇所がいくつか見受けられます。文章を分解してみます。

     

    (前半)

    【原文】最近 車上荒しが頻発しております

     

    ゞ臚錨世蔑ろにされています。句点“。”をつけないのはトイレでお尻を拭かないようなものです。省略せずに書きましょう。

     

    “荒”という送り仮名は間違いではありませんが、“荒らし”と送り仮名を長くとった方が誤解なく読まれやすくなります。原則として、動詞および動詞からできた名詞の送り仮名は活用する文字から送るようにします。例えば、「当」の場合には、「当る」とするよりも「当たる/当てる」とする方が読み間違いを防げます。「当る」と送り仮名を送った場合は、それが自動詞の「あたーる」なのか、他動詞の「あてーる」なのか判断できなくなるからです。“荒し”は名詞ですが、動詞では自動詞の「荒れる」と他動詞の「荒らす」がありますから、できれば“荒らし”と送りたいところです。

     

     

    (後半)

    【原文】『必ずドアロック確認と貴重品は携帯してください』

     

    まず、文節に区切ると以下のようになります。

     

    必ず/ドアロック確認と/貴重品は/携帯してください

     

     

    次に、文節の係り受けを見てみます。

     

    必ず⇒⇒⇒⇒⇒確認?or⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒携帯してください

      ドアロック確認と⇒⇒⇒???

                 貴重品は⇒⇒⇒携帯してください

     

    "ドアロック確認”の係り先が不明です。

     

     

    お客にお願いしたい事柄は、.疋▲蹈奪を確認すること・貴重品を(車内に残さず)携帯することの2点です。この2つのお願い事項は文章中で並列の関係にありますが、一方が"確認”と体言止めとなっており、もう一方が“携帯してください”と動詞(丁寧な命令形)となっているため、文章の係り受けがおかしくなっています。並列の関係にある文節は同じ形に揃えなければなりません。そこで、以下のように修正してみます。

     

    修正案1)必ずドアロックを確認し、貴重品を携帯してください。※目的語+動詞の形に揃えました。

     

    修正案2)ドアロックの確認と貴重品の携帯をお願いいたします。※お願いするに係る目的語の形に揃えました。

     

     

    重箱の隅を楊枝でほじくる様で恐縮ですが、言葉は思考と心をつかさどりますから、正しい日本語を学び、言葉と丁寧に向き合うことが大切です。

     

     

     

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    category:国語力養成講座 | by:理科塾comments(0) | -
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